2012年3月29日木曜日

東京医科歯科大学 血管外科 閉塞性動脈硬化症



肥満や糖尿病,喫煙などの生活習慣から動脈硬化となります.脳の動脈硬化からおこる脳梗塞や,心臓の動脈硬化からおこる心筋梗塞は,死に至ることもある恐ろしい病気です.では,同じ動脈硬化が足の動脈におこるとどうなるでしょうか.

以下の項目に思い当たるものがひとつでもあったら,閉塞性動脈硬化症(ASO)の可能性が ...

1. 最近,歩くのがおっくうになった,つらい.
2. 休まずに歩ける距離が短くなった.
3. 歩くと足の筋肉が痛くなる.特に坂道や階段を登る時に痛む.
4. 足がいつも冷たく感じる.
5. 左右の足の色が違う.

閉塞性動脈硬化症 (ASO) とは? ASOになるとどうなるのですか

 生活習慣病から動脈硬化になり,足の血管が狭くなったり詰まってしまうことにより,足を動かすのに必要な酸素が十分に運べなくなって起こる病気です. 動脈硬化は,足だけでなく全身の血管で起こります.そのため,進行すると血管の壁が厚くなって,血管の中が狭くなったり,血液の固まりが詰まって,脳梗塞や心筋梗塞なども発症しやすくなります.

動脈硬化が進行すると,歩くとふくらはぎの筋肉に痛みが出現するものの,立ち止まって休憩すると痛みがなくなって,またしばらく歩けるようになる「間歇性跛行」という症状が出現します.更に進行すると,じっとしていても足先が痛む「安静時痛」や皮膚のただれである「潰瘍」,足先の皮膚や筋肉,骨などが血流不足のため酸欠になり死んでしまう「壊死」などの症状が出現します.

安静時痛や潰瘍・壊死はまとめて「重症虚血」と呼ばれ,動脈が詰まってしまうことにより発症します. 詰まりを直して,血液を充分に足先まで流すような処置を行わない限り,足を切断しなければならなくなる危険が非常に高い状態です.