2012年4月5日木曜日

デリー医療案内


 

以下の情報は2005年度のものです。各施設の連絡先等は変更が生じている可能性があります。

1.はじめに2.赴任前の準備3.インドで注意する病気4.メンタルヘルス5.子供の病気
6.一時救命措置、心肺蘇生法7.家事補助者の健康診断8.病院・医院・薬局9.おわりに


 この医療案内は、インド、主としてデリー周辺に在住される邦人の方を対象として作成されたものです。インドは多様性の国であり、一口に医療と言っても、衛生状態の劣悪な状況の中でワクチンも満足に受けられない貧困者層を対象とした医療から、世界最先端の富裕者層を対象とした医療まで、全てが揃っていると言えます。「Hospital Tourism」と称して、アジア・中東・アフリカはもとより、欧米からも患者・顧客を呼び込むビジネスとしての医療も活発化しています。当地に在住される邦人の多くは、この最先端の医療の恩恵を得られるかと思いますが、文化的な差も大きいため、日本と同じようなサービスを受ける事はまだまだ難しい状況にあります。

 この医療案内が当地に在住される皆様のご参考になれば幸いです。

 海外、特にインドでは、「病気になったら考えれば良い」という日本的な常識は通じません。事前の準備が重要です。
2.1.赴任前健康診断
 同行されるご夫人方も、ご自身の健康のために赴任前の健診を受けておきましょう。健康診断により、病気を早期に発見し、その病気の治療がインドでも継続可能かどうか、赴任する場合にはどんなリスクがあるかを評価しておく必要があります。

健康診断実施機関

 事業所指定の診療所始め、最寄りの医療機関であれば基本的にどこでも結構ですが、出来るだけ海外勤務や海外医療に詳しい医療機関への受診をお勧めします。

医療機関名 住所 電話 URL
海外勤務者健康管理センター 横浜市港北区小机町3311 045-474-6001

上記以外に、厚生労働省の各地検疫所が電話で健康相談に応じてくれます。詳細は
 インド赴任後の感染リスクを減らすために予防接種を行います。半年から1年間かけて数回の接種が必要なワクチンもありますので、赴任が決まったら出来るだけ早めに開始しましょう。予防接種実施機関としては、厚生労働省の各地検疫所で接種可能です。詳細は
医療機関名 住所 電話 URL・備考
海外勤務者健康管理センター 横浜市港北区小机町3311 045-474-6001
旅行相談、マラリア相談、予防接種など。
財団法人 日本検疫衛生協会 横浜診療所 横浜市中区山下町2産業貿易センタービル3F 045-671-7041
財団法人 日本検疫衛生協会 東京診療所 03-3201-0848
国立国際医療センター研究所 旅行者外来 東京都新宿区戸山1-21-1 03-3202-7181(2877) 旅行相談・マラリア相談、予防接種実施など。

赴任時に必要な予防接種

 基本的には全て任意ですが、必須順に挙げてみました。

1. A型肝炎(Hepatitis A Vaccine)

 50歳以上の方は自然抗体を獲得している場合もありますが、若年者は必須です。ワクチン接種は2〜4週間隔で2回、6ヶ月目に3回目を行います。5年間程度有効です。インドでは西欧製の2倍体ワクチン(Havrix 1440等で2回の接種でOK)やA・B型肝炎混合ワクチン(Twinrix)等が接種可能です。

 小児の場合:不顕性感染が多い(感染しても発病しない)あるいは症状が軽いケースが多いとの理由で日本ではワクチン接種は薦められていません。しかし、インドでは小児でもA型肝炎が劇症化したとの報告もあり、時間的余裕があればお勧めいたします。インドでは西欧製の小児用A型肝炎ワクチンが認可販売されています。

 
 
2. 破傷風ワクチン(Tetanus toxoid)

昭和43年以前生まれの方:4週間隔で2回、6ヶ月目に3回。以降10年毎に1回のブースター接種が必要です。

昭和43年以降生まれの方:小児定期予防接種の三種混合ワクチン(DPT)を受けていれば、最後の接種から10年ごとに1回のブースター接種が必要。10年以内であれば不要。

3. B型肝炎ワクチン(Hepatits B Vaccine)

B型肝炎ウイルスは血液、体液などに存在します。ピアスの穴あけ、入れ墨、針治療、無防備な性交、輸血などにより感染します。デリー市内で外国人が使用している病院では輸血の際にはスクリーニングが行われていますが、緊急時や、地方の病院の場合には輸血による感染のリスクがあります。

4週間隔で2回、6ヶ月目に3回。5年間程度有効です。インドでも西欧製のワクチン(Engerix-B)やA・B型肝炎混合ワクチン(Twinrix)等が接種可能です。

4. 腸チフスワクチン(Typhoid Vaccine)

日本では未承認未発売ですので、限られた医療機関でしか接種できませんが、インドでは必須の予防接種の一つです。下記でご相談ください。
医療機関名 住所 電話 URL
海外勤務者健康管理センター 横浜市港北区小机町3311 045-474-6001

インドでは西欧製Vi不活化ワクチン(Typhivax)が入手可能です。1回の注射で約3年間有効とされています。効果についてはA・B型肝炎ワクチンと異なり70%程度と言われています。しかし、最近インドでは従来の抗生物質が効きにくいタイプの腸チフスが増えており、ワクチンの有用性は増大しています。
 
5. 日本脳炎ワクチン(Japanese Encephalitis Vaccine)

アジア全体、インドでは東部・南部で散発的な流行が報道されています。インドでは入手困難ですので、日本、タイ、シンガポールなどでの接種をお勧めします。4週間隔で2回、1年後の3回目接種が必要です。
 
6. ポリオワクチン(Polio Vaccine)

インドは世界的に最後のポリオ汚染地域の一つです。日本では経口生ワクチンを2回しか接種していませんが、これでは不十分であるとの指摘があり、小児・成人も出来るだけ追加接種を1回された方が良いでしょう。また日本では昭和50年〜52年生まれの方が受けたポリオワクチンの効果が低い事が分かっています。この年齢にあたる方は、日本で追加接種を受けるようにしてください。
 
7. 狂犬病ワクチン(Rabies Vaccine)

デリー市内でも野犬を多く目にします。また狂犬病は犬のみならず、ネコ、サル、リス、タヌキ、ウシ、コウモリなど多くの動物が媒介する病気です。医療機関へのアクセスが悪い地域にお住まいの方、動物好きな小さなお子様、ご自宅で犬等のペットを飼われている方にお勧めします。4週間隔で2回、6ヶ月目に3回目を接種します。

なお、感染動物に接触した後でもガンマグロブリン接種とともに暴露後接種(合計6回)をすぐに行えば感染予防ができると言われています。

 
8. 髄膜炎多糖体ワクチン(Meningococcal Meningitis Vaccine)

中部アフリカ地域、中東で流行していますが、デリー市内でも散発的な流行が見られます。日本では限られた医療機関でしか接種できませんが、インドでは接種可能です。必須ではありませんが、考慮しても良いワクチンです。
 
9.MMR(Mumps Measles Rubella Vaccine)

麻疹(はしか)、流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)、風疹(三日ばしか)の混合ワクチンです。日本では現在中止されていますが、インドでは接種可能であり、お勧めいたします。
現地で予防接種を受ける際の一般的注意

 信頼のおける医療機関で受けるようにしましょう。注射器と針が使い捨てである事を確認しましょう。使用期限を確認し、目の前で開封してもらいましょう。複数の生ワクチン(BCG、MMR、ポリオ等)の同時接種は避けた方が無難です。

参考:インドの小児予防接種プログラム

 インドではさまざまなスタンダードがありますが、以下にそのひとつをご紹介します。日本の定期予防接種より多くの種類、回数が必要と考えられているのが理解できると思います。(当地で小児科を受診した場合に下記のプログラムでの接種を薦められますが、ポリオについては4回以上の接種は必要ありません。)

例: から参照

年齢 ワクチン名
生後 BCG
OPV-0 (Oral Polio Vaccine)(経口ポリオ)
6 週 OPV-1
DPT-1 (Diphtheria Pertussis Tetanus:ジフテリア・百日咳・破傷風)
Hepatitis B 1st (B型肝炎)
10 週 OPV-2
DPT-2
Hepatitis B 2nd
14 週 OPV-3
DPT-3
7.5 ヶ月 Hepatitis B 3rd
9 ヶ月 Measles(麻疹)
15 ヶ月 MMR ( Measles Mumps Rubella:麻疹・おたふくかぜ・風疹)
16-24 ヶ月 OPV - DPT-1st ブースター
3 歳 Typhoid(腸チフス)
4 歳 Chicken pox(水痘)
5-6 歳 OPV - DT-2nd Booster
10 歳 Tetanus Toxoid(破傷風トキソイド)
Typhoid
16 歳 Tetanus Toxoid
Typhoid
 お子様がアメリカンスクールや現地校に編入学される場合、日本のワクチンだけでは不十分と見なされます。母子手帳の英訳を日本で入手しておけば、赴任後に追加接種を受ける際に、日本での接種分と合わせて学校提出要の「英文証明書」が入手できます。

外国語/日本語併記母子健康手帳の入手先:海外からはインターネット書店(紀伊国屋、ヤマトブックサービスなど)から注文が可能です。国内の場合、下記から直接入手可能です。

医療機関名 住所 電話 URL/e-mail
子育てインフォ
母子保健・家庭保健教育普及グループ
〒150-8923 東京都渋谷区神宮前5-53-1 03-3499-3111
(英語、ハングル語、中国語、タイ語、タガログ語、インドネシア語、スペイン語等)
2.4.海外旅行障害保険
 交通事故に遭って多発外傷を受けた場合、脳梗塞や心筋梗塞になった場合など、症例によってはシンガポールやバンコク、日本に移送した方が望ましいケースがあります。インド国内の地方で事故や病気になった場合でも、デリーに移送するには高額な費用が必要となります。入院・治療費のみならず緊急時の移送も考慮して、是非旅行傷害保険に加入してください。インド滞在中は旅行傷害保険会社のアラームセンターの連絡先を常に携帯するようにしましょう。

 この項ではインドで注意すべき病気についてご紹介いたします。
3.1.食べ物・水から感染する病気
 インドはウイルス、細菌、アメーバなどの原虫、寄生虫に至るまで実に多彩な病原体の宝庫です。経口的に感染する病気を以下に概説します。
旅行者下痢症(Traveler's diarrhea)

 途上国を旅行する人の30%〜70%は旅行開始から最初の2週間内にこの旅行者下痢症の歓迎(?)を受けます。別名Welcome Showerの由来です。皆様がインド生活に慣れ親しんだ後でも日本からお客様をお迎えした時にもう一度この大歓迎があることを思い出してください。この旅行者下痢症の原因は多彩です。旅行・赴任の準備など、疲労による体調の低下、旅行中・赴任後の不安、緊張、ストレスなどからくる精神的な胃腸障害、現地の飲食物の違いによる一過性の胃腸障害、ウイルスや細菌あるいは寄生虫などによる病的な下痢があげられます。早い人なら3〜4日間で回復しますが、まれに2週間以上続く例もあります。

 予防には、1)睡眠を十分にとり体調を整える、2)安全な食べ物と飲料水を摂る、3)生の野菜、魚介類、牛乳、アイスクリーム、ヨーグルト、乳製品に注意する、4)水は一分以上沸騰させたものか、ボトルに入ったミネラルウォ� �ターを飲む、5)氷は避ける、6)変質油に注意する、等が必要です。下痢症状が続く間はスポーツドリンク、ジュース、スープ、経口補液(薬局で購入可能ORS:ELECTRAL下図)を利用して、十分な水分補給をしてください。地方などで清潔な水分が得られない場合は丸のままココナッツを買い自分自身でカットしたココナッツジュースを飲みましょう。これは清潔で電解質も十分補えます。

 38℃以上の高熱、激しい腹痛、ひどい血便を伴う場合は重症ですので、できるだけ早く医療機関を受診しましょう。


あなたは、連鎖球菌咽喉に関連付けられている発疹を得ることができます
 
A型肝炎(Hepatitis A)

 A型肝炎ウイルスに汚染された食物や水を飲食するとA型肝炎に罹ります。インドの野菜や果物は良く洗ってから、肉類も野菜も十分火を通してから食べましょう。A型肝炎ウイルスは感染すると約4週間で、風邪のような症状と共に、下痢、嘔吐などの消化器症状、更に発熱後数日で黄疸が表れます。実はA型肝炎ウイルスはこの症状が表れる前(感染後2〜3週間後)から既に便中に排出していますので、気づいた時には集団感染ということも稀ではありません。A型肝炎はその地域の衛生度の指標とも言えます。日本でも1950年以前生まれのかなりの方は過去に感染したことを示す「抗体」ができています。このような方は免疫ができているので再感染の危険はありません。一方、1970年以降生まれの方のほとんどはこの抗体があり ません。つまり無防備にインドに乗り込んでくるわけです。インドに来る前にA型肝炎ワクチンを接種してくることをお奨めします。
 
E型肝炎(Hepatitis E)

 A型肝炎と同じく、患者さんの糞便から飲料水、野菜、魚介類を介して感染が広がる肝炎です。A型とは異なりワクチンは未開発です。重症に至ると劇症肝炎に至ることがあります。特に妊婦は致死率が高くなると言われていますので、妊娠をしている方はもちろん妊娠を予定されている方は普段以上に衛生的な食生活が必要です。
 
感染症による胃腸炎(Gastroenteritis due to infection)

 サルモネラ菌や病原性大腸菌、各種ウイルスが原因となる「下痢、嘔吐、腹痛」を主症状とする消化器の病気の総称で、インドではもっとも一般的な病気です。

 原因病原体として、病原性大腸菌、赤痢菌、赤痢アメーバ原虫が一般的ですが、調理が不完全な肉を食べた患者さんの中にはキャンピロバクター、サルモネラが検出されることも稀ではありません。またモンスーンの時期になると、汚染した水からコレラが流行することがあります。コレラ菌は熱や塩素消毒で簡単に滅菌できますし、大量の菌を摂取しない限りは発症しませんので、ミネラルウォーターなどの清潔な水を飲んでいれば感染しないはずです。

 通常の食生活をする方であれば野菜を生で食べなくてもビタミン・繊維質は十分に摂取できます。また、 街頭で売られるソフトクリームの注ぎ口には細菌が繁殖するに十分な条件(養分、酸素、湿度、温度)が整っているので危険です。路上で売っているカットフルーツも同じです。炎天下に長く置いている物をみずみずしく見せるために、清潔でない水をカットした果物にふりかけています。もちろん食前、外出後の手洗いの励行も忘れずに。予防の原則はCook it, peel it, or leave it(加熱して料理しろ、皮をむいて食べろ、さもなくば捨てろ)です。

 
ランブル鞭毛虫症(ジアルディア症:Giardiasis)

塩素消毒にも抵抗性のあるランブル鞭毛虫(右図)のシスト(嚢胞)が主に生水などを介して人間の口から感染します。熱帯、亜熱帯を中心に世界に3億人の患者がいると言われていますが、ここインドがまさに本場です。長期滞在者にはもっとも一般的な消化器病の一つです。症状は全くなく、一過性の下痢だけのことがあります。ひどい場合には腹痛、腹部膨満感、嘔吐、泥状あるいは脂肪様の下痢になることもあります。ランブル鞭毛虫は小腸の粘膜に吸着し小児に吸収障害・成長障害を起こします。長い間、なんとなくお腹の調子が悪かったり、下痢が続いていたりしたら、現地の医療機関を受診して検査を受けましょう。薬で治療が可能です。ご家庭のコックさん、メイドさんから感染しているケースがかなり見られ� �す。家事補助者は少なくとも毎年一回は検便検査を実施しましょう。
 
腸チフス(Typhoid)

チフス菌に汚染された水、乳製品、貝類を口にすると感染します。日本での輸入腸チフスの半分はインド亜大陸からの旅行者が持ち帰ったものであるとの報告もあります。感染すると、階段状に上昇する発熱、下痢、便秘、徐脈(少ない脈)、バラ疹と呼ばれる特有の皮疹が見られます。治療や安静を怠ると腸穿孔で命を失うこともあります。(致死率は約10%)。日本では未認可ですが、インドでは西欧製の一回接種の不活化ワクチンが承認販売されています。長期滞在者はインド到着後すぐに予防接種を受けることをお奨めします。
 
ポリオ(急性灰白髄炎、いわゆる小児麻痺:Poliomyelitis)

ポリオは腸管ウイルスを意味するエンテロウイルスの一種です。3種類のウイルスが知られていて、インドはP1の本場です。WHO、ユニセフを中心に生ワクチンを使ったポリオ撲滅運動が展開されていますが、残念ながらインドでは未だポリオは撲滅されておりません。ワクチン接種により予防可能です。なお、日本では2回しか施行されませんが、赴任される方はもう1回の追加接種をお勧めします。
3.2.蚊などの昆虫から感染する病気
 人口も多ければ、病気を媒介する昆虫(蚊・蝿)の数や種類も多いのがインド。昆虫から感染する病気の種類も多彩です。
デング熱(Dengue fever)

 1956年にフィリピンで報告されて以来、今では東南アジア、南アジア、中南米をはじめ地球規模に広がっている病気です。tiger mosquitoとも呼ばれるネッタイシマカ(右図)が媒介するデングウイルスが病原体です。デリー市内では1996年10,252名の患者が発生し、423名がこの病気で死亡しました。患者発生数はその後1997年336名(死亡1名)、1998年316名(死亡1名)、1999年184名(死亡0名)と減少傾向にありましたが、2003年には2700名(死亡34名)の7年ぶりの大流行がありました。デング熱に対するワクチンは現在開発中で、完成には至っておりません。現時点での予防法は「蚊に刺されないこと」に尽きます。

 ウイルスを持つ蚊に刺されると約1週間(5〜8日)後、頭痛、筋肉痛(特に背中)、関節痛、倦怠感と共に突然の発熱があります。症状が出てから3〜4日後に「赤い斑状の皮疹」が見られることもあります。大抵の人はこのまま1週間以内に治癒しますが、倦怠感 はかなり長く残ります。デング出血熱、デングショックという重症型になると死亡率が高くなります。デングウイルスには1〜4型まであり、同じ型のウイルスに対しては免疫ができますが、異なる型のウイルスには再感染します。過去にデング熱に罹ったことがある方も十分に注意が必要です。なお、ネッタイシマカは昼間、特に日の出後(7時〜10時)、日の入り前(15時〜17時)の2〜3時間に吸血行動が活発になりますので、要注意です。この時間帯に出かける方は虫除けスプレーを使用してください。

 
マラリア(Malaria)

 ハマダラカ(右図)が媒介するマラリア原虫によって引き起こされる病気です。休む時に尻尾を上げるハマダラカは吸血時にマラリア原虫をヒトの身体に持ち込みます。このマラリア原虫が肝臓内と赤血球内で増殖を繰り返すことによって、発熱、戦慄、発汗、解熱などの多彩な症状を引き越します。潜伏期は1週間から1ヶ月と幅があります。

 デリーで発生するマラリアは三日熱マラリア(Plasmodium vivax)が主です。時に死に至ることもあるため悪性マラリアとも呼ばれる熱帯マラリア(Plasmodium falciparum)は、デリーでは1996年の650例をピークとして、ここ数年は十数例の発生にとどまっております。しかし2003年にはデリー近郊のFaridabadで脳マラリアの発生例が報告されています。

 濃厚汚染地域に長期に滞在する場合はWHOが奨めるようにクロロキンとプログアニルを予防内服する必要がありますが、それ以外の地域(デリー、ムンバイ等の大都市)では予防内服は必要ありません。以下に記す蚊に刺されない注意が大切です。

虫除けクリーム・スプレー ハマダラカが活動する夕暮れから明け方にかけて外出を避ける。(注:デング熱のネッタイシマカは昼間が要注意です。)止むを得ず外出する場合は、できるだけ長袖,長ズボンを着用し、皮膚が露出する部分に虫除け剤を塗布する。虫除け剤(忌避剤)は、N,N-diethyl-m-toluamide(deet)あるいはdimethyl phathalateのいずれかを含むもの(商品名Good Knight等)を選ぶ。気温湿度が高い時は3〜4時間おきに塗布する。小児に対する使用量等は製品使用説明書に従う。
網戸 建てつけやメインテナンスがしっかりした住居に住み、窓やドアに網戸を設置する。もし、網戸が無い場合は夕暮れまでに戸や窓を閉める。
蚊帳 蚊が入るような住居に住む場合、ベッドの上に蚊帳をつるす。その際、蚊帳の中に蚊が入っていないこと、蚊帳が破れていないことを確認する。蚊帳の線維に殺虫剤のpermethrinや deltamethrinを染み込ませておくと良い。
殺虫スプレー・蚊取り線香 pyrethoidsを含んだ殺虫剤、電器液体蚊取り器もしくは蚊取り線香を夜間ベットルームにおく。インド国内でもBAYGON, ALL-OUTなどの商品名で購入可能。

 
リーシュマニア症(Leishmaniasis)

 スナバエ(サシチョウバエ)に刺されることによって媒介される病気です。媒介する原虫により、内蔵リーシュマニア症(Leishmania donovani原虫)、皮膚リーシュマニア症(Leishmania tropica原虫)、皮膚粘膜リーシュマニア症(Leishmania braziliensis他3種原虫)と多彩な病状になります。インドでは前2者の患者が発生しています。内蔵リーシュマニア症は感染後一週間から1ヶ月で風邪に似た症状(持続性の高熱、全身倦怠感、上気道炎)が現れ、進行すると脾腫、貧血、腹水が加わり、合併症や出血で死に至ることもあります。たかが蝿と侮らないことがまず肝要です。皮膚リーシュマニア症は感染後潜伏期1〜数ヶ月を経て皮膚に丘疹・結節、痛みの無い潰瘍(無痛性潰瘍)ができ、その周囲リンパ節が腫れてきます。約一年で瘢痕を残して治癒します。
 
疥癬(かいせん:Scabies)

 イヌ、ネコから移る動物疥癬の他に、夏にはヒト疥癬が発生します。ヒト疥癬はヒゼンダニ(右図)と呼ばれるダニが皮膚に侵入して起きる病気です。夏に山小屋などで不潔なベッドやシーツで眠る時はそれなりの覚悟を決めてから眠るか自前の寝袋を利用しましょう。疥癬に感染しても命には別状はありませんが、夜間寝るに寝れない痒さに悩まされます。

 感染すると陰部、鼠径部、腋の下、お腹や手足の柔らかい部分に一見虫刺され様の皮疹ができます。良く見ると中央が赤黒く隆起し、その廻りが赤く盛り上り、ところどころ皮がむけたような(鱗屑りんせつ)、例えて言うなら麓に火山灰が舞い降りた富士山のようにも見えます(直径が5〜30o)。また疥癬トンネルと言われる30 〜40mmの線状の隆起(ヒゼンダニの産卵場)が手の指の間や腕の内側に見られます。心当たりがあれば、現地の医療機関を受診してください。ほとんどの場合はPermethrin5%クリーム(日本未承認薬、インドで入手可)を一回塗るだけで治ります。治療後にシーツ、衣類からの再感染を防ぐために熱湯での洗濯が必要です。また、日頃からアイロンかけを十分にしておきましょう。

 
ペスト(Plague)

 インド北部には環境的に長期にげっ歯類がペスト菌を保持する地域(natural foci)が存在します。ヒトがそのような地域に狩猟、森林伐採などで分け入るとペスト菌をヒト社会に持ち帰ることになります。

 ペストはノミ(ケオピスネズミノミ)がネズミとヒトの間を媒介し感染が拡大します。また、一旦ヒトに感染し、肺ペストと呼ばれる状態になると、飛沫感染でヒトからヒトに直接伝播します。予防法として、死菌ワクチンの接種、テトラサイクリンの予防投与がありますが、最大の予防法は流行が確認された地域に入らないことです。

 
日本脳炎(Japanese encephalitis)

 豚を吸血したイエカがヒトを吸血して日本脳炎ウイルスを伝播させます。予防接種で感染を防ぐことができます。感染後の潜伏期間は1〜3週間です。突然40℃の高熱が出て、頭痛、嘔吐、意識混濁、麻痺、不随意運動などの症状がでます。高熱を出した小児や高齢者では死に至ることもあります。特にご高齢の方でインド滞在が長くなる方は改めて日本脳炎ワクチンの接種が必要です。(注:2005年5月、日本国内では重篤な副作用の報告のため定期接種が中断されましたが、海外渡航者等リスクの高い場合、希望者には公費による接種が継続されています。)
3.3.その他の病気
上記以外のインドで気をつけたい病気についてご説明いたします。
狂犬病(Rabies)

 インドでは地方でも都市でも野犬を目にします。ここでは飼い犬であってもきちんと狂犬病ワクチンを接種されているとは限りません。加えて寺院などに棲息する野猿も強暴でヒトを襲うことがあります。また、猫、キツネ、コウモリからネズミに至るまでありとあらゆる哺乳類が狂犬病ウイルスを保持しているリスクがあります。

 狂犬病に罹患し、一度発症すると、必ず死に至ります。当地で動物を扱う仕事をされる場合、24時間以内に信頼のおける病院にアクセス出来ない地域に居住される場合、小さいお子様がいらっしゃる場合(子供は野生動物に咬まれた事を親に報告しない可能性があります)は、事前のワクチン接種(暴露前接種)をお勧めします。感染動物と接触した場合は(傷があれば舐められただけもで感染� ��ます)できるだけ早くワクチン接種が可能な医療機関を受診し狂犬病ワクチンに加えて破傷風トキソイド接種を受けましょう。また現場の処置として大切なのは、できるだけ早い時期に傷口を石鹸・消毒薬・大量の流水で洗うことです。身体に侵入するウイルス量をできるだけ減らすために行います。


優れたトリグリセリドのレベルは何ですか
 
B型肝炎(Hepatitis B)

 歯ブラシ、かみそり、タオルの貸し借りや性交渉、輸血、医療用器具(注射針、歯科治療など)から血液や体液を介して感染します。感染の多くは症状の無いキャリア(ウイルス保有者)からのものです。インド亜大陸のキャリアの割合は5〜15%と言われています。かみそり、歯ブラシの貸し借りは当然のこと、交通事故などで輸血が必要にならないよう注意しましょう。性行為による感染率はHIV感染以上です。不特定多数を相手とするCommercial Sex Workersとの性交渉は危険です。

 日本でもB型肝炎ワクチンが承認販売されていますので、インド渡航前に接種を済ませましょう。インドでもHavrix-Bなどの西欧製のワクチン接種が可能です。

 
熱中症(Heat stroke)

 高温で湿度が低いデリーの夏は熱中症(熱失神、熱疲労、熱痙攣、熱射病)に罹るリスクが高くなります。暑い戸外で長時間活動することは避けましょう。戸外ではつばの広い帽子(首が隠れるもの)をかぶり、汗を吸い取る服装で、風通しの良い日陰に入りましょう。また水分と塩分の補給をこまめに行いましょう。電解質が含まれたスポーツドリンクが良いでしょう。また経口電解補給剤(ORS:ELECTRAL等)を薬局で購入することもできます。地方では実のままで割っていないココナッツツを買って中のココナッツジュースを飲むと十分な電解質と水分が補給できます。「1リットルの水に塩を茶匙1杯、砂糖を茶匙8杯、レモンやライムで味をつけた自家製スポーツドリンク」も結構ですが、暑い中に長く放置しておくと飲み口に細� �が増殖するのでご注意ください。

 軽傷の熱中症の場合は涼しい場所で、衣服をゆるめ頭を低くして寝かせ、水分(0.2%食塩水)を補給すれば回復します。しかし軽傷か重症かの判断は素人には難しいものです。患者さんの頚、腋の下、足の付け根など太い血管のある部位をアイスパックで冷やし、水や濡れタオルをかけて扇ぎながら、エアコンの効いた車でできるだけ早く集中治療室のある病院(Apollo病院、Max Medcentre等:8.1参照)へ運びましょう。

 
蛇咬傷(Snake bite)

 インドでは特にモンスーンの時期になると、ゴルフ場、住居の庭、学校の校庭などに蛇が出てきます。その中にはコブラ(Cobra)、クサリヘビ(Vipers:右図)などの毒蛇もいます。蛇は臆病な動物ですから、熊追いと同じ原理で大きな音を立てながら歩きます。棒で草を打ちながら、足音を立てるように歩きましょう。万が一蛇に噛まれた場合は、種類を同定するために襲った蛇を捕獲できれば理想的と言われていますが、蛇毒の吸収を高める危険があるので深追いすべきではありません。コブラ毒は神経毒で死亡率10%程度、また毒が注入されるのは5割程度といわれています。またクサリ蛇毒は神経毒+出血毒で死亡率1%-15%と言われています。つまり、噛まれたら必ず命を落とすわけではありません。噛まれた本人も周りも慌てず落ち着く� �とが大切です。口腔内の傷から毒が侵入する可能性がありますの、決して、傷口を吸わないでください。患部を清潔な布で覆い、冷やしましょう。患部を上にして、添え木を当てる等して、できるだけ動かさないようにしましょう。過度の圧迫駆血は循環障害のもとです。20分締めたら10秒緩めるようにしましょう。締め方の規準は紐に指一本が入る程度が目安です。

 デリー市内でコブラ血清を備蓄している病院はApollo病院(2692-5858)、All India Institute of Medical Sciences :AIIMS (2658-8500, 2658-8700, 2658-9900, ER:2658-8698)の2箇所です。

 
結核(Tuberculosis)

 インドは世界でも結核罹患率の高い国のひとつです。衛生・栄養状態の良い邦人がそのままインド人と同じリスクを共有するということはありません。しかしインドでは薬剤耐性(薬が効きにくい)結核菌の比率が高く(10〜20%)、一旦結核にかかると治療が厄介になります。家事補助者(コック、子守り、ドライバー等)は一般的に衛生状態や栄養状態があまり良くない環境に居住していますので、普段から彼らの健康に配慮し健康診断を毎年実施しておきましょう。
 
エイズ(AIDS/HIV)

 インドは世界で二番目にAIDS/HIV患者数が多い国です。AIDS患者数、HIV陽性者数は凡そ510万人程度(2003年度)と推定されています。インドではエスコートサービスなどの売春は表面には出ていませんが、逆にHIVを含めて未管理の性病の流布が懸念されています。梅毒、淋病、トリコモナス症、膣カンジダ症、陰部ヘルペスなど他の性病にも注意が必要です。不特定多数との性交渉は避け、コンドームの装着を徹底しましょう。また、床屋で剃刀をあてる時は必ず目の前で刃を交換させましょう。
 
炭疽(Anthrax)

 2001年冬に世界を震撼させた炭疽菌バイオテロは記憶に新しい事件でしたが、インド・パキスタンからトルコは炭疽ベルトと呼ばれる炭疽の本場です。この炭疽ベルトを中心に世界中で毎年2〜10万人の患者が発生しています。

 炭疽は人畜共通感染症です。つまりヒトと動物の間で菌が移動しています。デリーで普通の生活をしている限りでは感染するリスクは低いと言えますが、地方(特に南インド)で掘り出し物の革製品、毛皮を購入する場合には炭疽菌が付着している可能性があるので注意が必要です。

 
紫外線傷害(Ultraviolet ray injury)

 紫外線は波長によりA波(UV-A)320〜400nm、B波(UV-B)290〜320nm、C波(UV-C)<280nmに分類されます。A波(UV-A)は普通の窓ガラスを透過する波で、目の水晶体にダメージを与え白内障の発生を早めます。また、肌の張りや弾力を奪い、しみやそばかすを濃くします。B波(UV-B)はガラス窓を通りませんが、表皮に炎症を起こす紫外線です。長くあたると肌に日焼けをおこし、長時間目がさらされるといわゆる雪目になります。C波はわれわれがオゾン層を守る限りは地表には到達しないはずです。

 インドでは青空が見えなくても、日本以上の紫外線を浴びています。お肌が気になる奥様方はつば広の帽子と大きめのUVカットサングラス、更に手袋を着用されることをお勧めします。お子様も首の後ろを被う紫外線カット帽子を着用すると良いでしょう。

 異文化の中で暮らす海外生活にはとかくストレスがつきものです。日本人の感覚でインド生活に真正面から挑むと、まるで心が歯軋りするような気持ちになる事もあります。日本の友人から見ると一見優雅なマダム生活を送るご婦人方でも、実は文化の異なるインド人を雇う事は大きなストレスを伴います。海外生活に限らず人間はいらいらしますし、おちこんだ気分になります。特に、皆様が初老期うつ病の好発年齢や更年期に差し掛かっている場合、インド生活のストレスが誘因(きっかけ)になってその症状が表面に出たり、悪化したりすることがあります。苦しい時は一人で抱えず、頼れる人に相談しましょう。
4.1.海外生活の適応段階
 海外生活者がさらされる精神的状況を時間的に分けると次の5段階になります。この段階を「ものさし」にしてあなたの精神的ストレスを客観的に捉えることができます。決してあなただけが悩んでいるわけではありません。この道は誰もが通る道なのです。
@移住期 <着任後数週間〜数ヶ月間>

 家・車・家事補助者・電気・電話・学校・挨拶回りと、生活の設営に追われる時期。この作業に必死で、実はあまり精神的な問題は起こりません。まわりからも見かけ上「適応」しているように見えますし、自分自身立派なものだと思ってしまいます。しかし、この時期にがんばりすぎると後に心労を引きずることになります。移住期こそ余裕をもってマイペースで事を運びましょう。
 
A不満期 <着任後数週間〜数ヶ月後以降>

 生活の設営が終わり、ほっと一息つく時期です。その一方、インドの欠点やストレス源が少しずつ目に付いてきます。この時期に心身の不調や精神障害・自殺などの問題がおこりがちです。この辛い時期は誰にでもあるものです。あなただけの悩みではありません。辛い時は十分に休養をとりましょう。また旅行などして気分転換をはかるのも良いでしょう。
 
B諦観期(悟り期) <着任後数ヶ月〜一年以降>

 インドの良いところも、悪いところも肯定的に認識できるようになります。ありのままの姿が見られるようになり、心理的にも落ち着きに向かう時期です。多少受け身的ではありますが、些細な不合理は受け入れるようにした方がいいでしょう。
 
C適応期 <おおよそ一年以降>

 現地に無理なく溶け込み生活をエンジョイできる時期です。インド赴任直後の人からみると回りの日本人は皆適応期の人ばかりに見えるものです。でも心配は要りません。あなたにもやがてこの時期はやってきます。
 
D望郷期 <約2〜3年以降>

 良かれ悪しかれインドの「刺激」に慣れてくると日本が懐かしくメランコリックな気分になります。着任時お世話になった人達の離任を見送るのは寂しいものです。また自分自身の帰国を間近にしての引越し準備や日本再適応への不安が引き金になり心身に不調を起こすこともあります。ここまで来たら最後までインド的にNo Problemの精神で過ごしましょう。
4.2.海外赴任者に生じるメンタルヘルス上の問題
 外務省領事移住局の統計によれば平成15年10月1日現在の海外在留邦人数は911,062人、長期滞在者は60万人以上と推定されており、海外赴任というのは特殊な勤務体系ではなくなりつつあると言えます。海外勤務者健康管理センターの調べによれば、海外赴任者の39%が神経症圏、21%が抑うつ状態圏であるとのデータもあり、多くの方がメンタルヘルス上の問題を抱えている事がわかります。国内でも過労によるうつ病・自殺の増加が問題になっていますが、海外においても状況は同じ、あるいは環境によるストレスが大きい分、より一層の配慮が必要であると考えられます。労災の判例からも、企業は海外労働者とその家族の健康管理につき安全配慮義務があるとの判断が下されています。

 海外に職員を派遣する企業� �とって、職員の精神面での健康問題は、1.心の健康状態は経営成果と相関関係にある 2.自殺者が出ないようにするためのリスクマネージメント という2つの観点から、たいへん重要な問題になっています。

 まずは派遣されている職員自身が自分自身のストレスに気づく「セルフケア」、管理監督者、あるいは派遣する側が職員のメンタルヘルスに気を配る「ラインによるケア」が重要です。必要であれば、企業内保健スタッフ、さらには事業外資源(専門施設など)へ早急にケアの依頼をする事が解決への道筋になります。以下では、ラインによるケア、すなわち管理監督者や上司の方が派遣職員の異常に気づくためのポイントをご紹介いたします。


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1. 原因のはっきりとしない体調不良はないか?

 精神面の異常が体の異常として現れるケースが少なくありません。胃の調子が悪い、疲れやすい等など、病院に行っても良くならない、原因が不明の場合は要注意です。
 
2. 食べられているか?

 うつ状態では生理的な欲求が低下します。食欲低下、性欲低下が見られます。
 
3. 眠れているか?

 寝付きの悪さ、睡眠の浅さ、夜中に何度も目が覚めるといった睡眠の異常を訴えます。
 
4. 酒量が急に増えていないか?

 お酒やタバコの量はストレスの量と相関します。
 
5. 気分や言動が不安定になっていないか?

 会議などで怒りっぽくなっている、ぶつぶつと同じ言葉を独り言のように繰り返す、喜怒哀楽の変化が激しい等は要注意です。
 
6. 仕事はある程度こなしているか?

 最終的には仕事がこなせているかどうかが見極めのポイントになります。うつ状態では能力が極端に低下します。
 以上の6項目について、定期的にチェックしてみてください。そして問題があると考えられた場合には、以下の対応を行ってください。
1.軽症(軽い不眠、軽度の体調不良)の場合

 上司の命令として休暇をとらせてください。可能であれば現地の医療機関を受診させてください。
 
2.中等症・重症(著明な体調不良、業務能力の極端な低下、逃避願望、自殺願望をほのめかす)、あるいは単身者の場合

 早急に帰国させてください。精神的な混乱が重篤な場合には、一定期間地元の病院に入院させる方法もあります。デリーでも可能です。(East West Medical Center TEL:2469-8865 Dr.Chawla 98110-29283等)
4.3.夫人に生じるメンタルヘルス上の問題
 ご主人の赴任に伴って同行されたご夫人が抱える問題を列挙してみました。
1. 言葉の問題

 まずは、言葉、コミュニケーションの問題があります。英語の場合でも、全く苦手だと思っていらっしゃる方はもちろん、得意だと思っていた方も、現地で簡単な会話が聞き取れず落ち込んでしまわれる方もいます。
 
2. 子育ての問題

 お子様を同行されている場合には、子育てが一番の問題になるかと思います。ベビーシッターの問題、家庭での躾の問題、教育問題、子供が病気になった場合の問題等心配事はいっぱいです。
 
3. 培ってきたキャリアの問題、赴任理由、アイデンティティーの問題

 日本でバリバリに仕事をしていたが、夫の赴任に伴いやむを得ず退職して同行してきたというケースも少なくないと思います。この「仕方なく、やむを得ずついてきた」、という気持ちが海外生活の場合に大きな問題になります。夫から十分な説明や相談がなかった場合に特にそうです。日本で積み重ねてきたキャリアが無駄になるのではないか? 海外で何をすれば良いのか? ご自身のアイデンティティーの喪失があります。だんなの付属物のような存在が気にいらないという事は当然あるかと思います。そいう場合には、それ以外のご自分自身の赴任理由、海外在住理由を持つ必要があります。
 
4. 使用人との問題

 人を使うという事は、日本にいれば夢のような話ですが、これはこれで使い慣れていない我々にとっては大きなストレスになります。一から、それこそ手の洗い方、布巾と雑巾の違いから教えなければなりません。時間の観念も異なり、遅刻はあたりまえの彼らとつき合うのはたいへんです。
 
5. 現地邦人社会との問題

 意外かもしれませんが、コミュニケーションに問題は無いはずの邦人社会とのつき合いがストレス源になる事も少なくありません。インドの場合邦人数が少いため村社会です。うそやデマ、悪い噂が知らない間にとびかって、気が付いたら邦人社会の中で孤立している、という事があります。
 
6. ストレス解消方法の問題、健康問題、更年期の問題

 ストレス解消法の問題、ご自身の健康問題、更年期の体調不良なども大きな問題になります。どんなに言葉が堪能な方でも、日本と同じように現地で医療相談を受けるのはたいへん難しい事だと思います。
 
7. サポート体制の問題

 ストレスというのは、それを減少させる要因があるかという事でもその大きさが変わってきます。すなわちサポート体制があるかどうかという事です。日本にいれば、何かストレスがたまるような事があっても、別のコミュニティーと関わる事でストレスを軽減する事ができますが、海外の場合はなかなか難しいのが実情です。
 
8. 夫との問題

 一番のサポーターになるべき人が夫だと思います。夫が妻の支えにならないと海外では生活できない、と言えます。
※上記問題に対する解決のヒント

 夫人の抱えるストレスを解決するヒントを考えてみました。

1. 楽観的 ネバーマインド精神

 楽観的、ネバーマインドという言葉がありますが、ノープロブラム、マイペンライ、ケサマシブ、ティダアパアパ、等々、世界各地に同じような意味の言葉があります。
 
2. ジェスチャー・コミュニケーション

 手振り身振り、表情を使いましょうという事です。流ちょうな現地語を使うよりも、態度、身振り、ジェスチャーで態度を示した方が、気持ちが伝わる、という事があります。
 
3. ダメママ、ダメ主婦でOK

 海外生活では完璧主義は放棄しましょう。きっちり、ちゃんと、しっかり、は外国ではできません。そもそも基盤となる生活そのものが自分だけではできない、使用人さんや運転手などの手伝いなしにはできない世界ですから、完璧主婦、完璧ママは止めましょう。あきらめて、子供の自立に期待してみましょう。
 
4. 日本的「時間」からの解放

 明日という言葉は1週間後という現地時間に慣れましょう。次の予定の時間に間に合わせることよりも、今会っている人との時間、外国人との出会い、一期一会を大切にするという気持ちを学びましょう。
 
5. 他力本願

 他力本願で行きましょう。自分一人で解決しないようにしましょう。夫、親、邦人、使用人、現地の人、他人、大使館、領事館、使える者は何でも使いましょう。お互い様です。あなたが他人を助ける番も必ず来ます。
 
6. 適切な他人との距離感

 特定集団、邦人社会等とのつきあいでもそうですが、人とのつきあいにおいて、適当、適切な距離を保つ、という事が大切かと思います。のめり込み、偏り過ぎて失敗する事があります。海外は村社会ですから、何かトラブルがあった時に孤立しがちです。そういう場合、適切な距離間を持っていればやりすごせます。その集団以外に自分の置き場がないと辛い事になります。逃げ場を持つためにも、日本人ばかりではなく現地の人や、外国の人達ともなるべく接するようにしましょう。一定の距離を置きながらのつき合いの方がお互いに疲れず長続きします。時間の経過の中で、不思議とお互いの本質は見えてくるもので、心から理解しあえる関係になっていくのだと思います。生活環境や生活が厳しい外国だけに、戦友の� �うな存在になり、その後国が離れても長くつき合うようになるというたいへん幸せなケースもあります。大事なことは、これは日本にいても同じ事ですが、全ての人とそういう深い関係は築けないとわりきる事であり、いろんなつき合いの仕方の中で、ごくたまに一生続く友人が出来た時の幸せが光るのだと思います。
 
7. 趣味・スポーツ

 万が一孤立した時に備えて、一人でも出来る、楽しめる趣味を持ちましょう。スポーツ、音楽、絵画、買い物でも読書でも何でも良いと思います。
 
8. 電話代をけちらない、メールの利用

 相談、愚痴を聞いてもらうための国際電話代をけちらないようにしましょう。メールも活用しましょう。
 
9. 赴任前、赴任後の夫婦での十分な話し合い

 海外生活では相対的に夫婦間の距離が近くなり、夫婦の絆が問われます。夫婦の問題が顕在化します。赴任前、赴任後も十分な話し合い時間を持ちましょう。
 
10. 我慢しても、せいぜい数年間

 数年ごとに任地が変わる職場の場合に言える事は、どんなにつらい人間関係であっても、数年がまんすれば、変わる。その人が異動したり、自分が異動する事もある。一生その人とつきあわなければいけない事はない、という事であきらめる、気持ちの切り替えをするという方法もあります。
以上、悩みを抱える皆様のヒントになれば幸いです。

 この項では、お子様の病気の際、医療機関に繋ぐまでの処置方法を概説いたします。実際の現場では安易な素人判断は危険ですので、あくまで一時的な処置方法の一つとしてお考えください。当地には優秀な小児科医もいますので、心配な場合には早めに医療機関を受診してください。
1.風邪と思われる場合(common cold)

 お子様の場合、元気があるかどうか、食欲があるかどうかが重要なポイントになります。元気があって、ご飯も食べていれば、多少の熱があってもそれほど心配ないと考えて良いと思います。しかし、微熱であっても、元気がなくぐったりしている、食欲がない、嘔吐があり水を飲めない場合は、早めに医療機関を受診してください。日本から持参の風邪薬等の服用については、aspirin(成人用のバファリン)、diclfenac sodium(ボルタレン)、mefenamic acid(ポンスタン)が含まれていない事を確認してください。上記はインフルエンザやデング熱の場合に禁忌と言われています。acetaminophen (paracetamol:当地ではCrocin等)は安全です。抗生物質の使用については、必ず医師の判断を仰ぐようにしてください。
 
2.下痢(diarrhea)

 下痢の際に大切な事は、失われた水分と塩分を補う事です。スポーツドリンク、ジュース、スープ、経口補液(薬局で購入可能ORS:ELECTRAL等)を利用して、十分な水分補給をしてください。地方などで清潔な水分が得られない場合は丸のままココナッツを買い自分でカットしたココナッツジュースを与えましょう。下痢の時は腸管を休ませる事が基本ですので、固形物、特に油物は摂らないようにしましょう。ただし、水分も摂れない場合には、医療機関で点滴を受ける必要があります。高熱を伴う下痢、激しい腹痛を伴う下痢、血便を伴う下痢の場合には、必ず医療機関を受診してください。日本で一般的に小児に処方される下痢止めとしてはビオフェルミン末、アドソルビン末、タンナルビン末がありますが、これらについて� ��内服してもかまいません。ロペミン小児用(loperamide hydrochloride)については医師の合意が無ければ服用させないでください。抗生物質についても、自己判断では使用しないようにしてください。
 
3.発熱(high fever)

 発熱は、細菌やウイルスの侵入に対する体の防御反応です。無理矢理熱を下げる事は、病気を長引かせたり、悪化させる事に繋がります。従って、安易に解熱剤を使う事は薦められません。38度以上あるのに水も飲めない、体力の低下が著しい場合などに、acetaminophen (paracetamol:当地ではCrocin等)を1日2回程度使うに留めてください。水分補給、物理的な解熱方法(熱さまシート、氷枕等)の処置につとめてください。デング熱の場合には、出血傾向を助長する作用のあるaspirinは使ってはいけません。また、インフルエンザの場合も、diclofenac sodium(ボルタレン)、mefenamic acid(ポンスタン)はインフルエンザ脳症やライ症候群の原因になると言われており、使用禁です。3日間、38度以上の発熱があった場合にはデング熱、マラリアも考慮する必要がありますので、医療機関を受診してください。激しい頭痛、項部硬直(首を前に倒すと抵抗がある、痛がる)がある場合には脳炎の疑いがありますので、直ぐに医療機関を受診してください。

 参考:100.0°F(華氏) = 37.7°C(摂氏)、104.0°F = 40.0°C に相当します。


 
4.ひきつけ、けいれん(convulsion)

 6歳以下のお子さんで高熱後にひきつけ、けいれんを起こした場合は熱性けいれんの疑いがあります。熱性けいれんの形は強直性間代性(全身がつっぱった後、手足をガクガクふるわせる)で左右対称性です。誰にでもおこりうる、直ぐに命にかかわる事のない発作ですので、あわてずに対処しましょう。具体的には、衣服をゆるめ、しずかに寝かせて、顔を横にむかせて嘔吐による窒息を防ぎます。けいれんの形、何分続いたかをしっかりと観察してください。口の中にタオルやハンカチを入れるのは危険です。5分以内におさまった時は、熱を計り、呼吸状態、顔色などをよく見て、意識を確認します。けいれんが5分以内に止まっていて意識もしっかりしていれば、あわてて医療機関を受診する必要はありません。熱が� �いのにけいれんが起こった場合、けいれんが5分以上続く場合、意識が戻らない場合、発作が何回も続く場合には早急に医療機関を受診してください。日本で何回か経験され、けいれん止めの座薬(ダイアップdiazepam等)を既に処方されている場合には、37.5度を目安に使用してください。
 
5.熱中症(heat stroke)

 屋外で遊ぶ場合には、必ず帽子をかぶらせましょう。通風性の良い服を着せませしょう。水筒を持たせ、こまめに水分(可能であればスポーツドリンク)を摂らせませしょう。軽度の熱中症の場合は、涼しい場所で衣服をゆるめて頭を低くして寝かせます。首、脇の下、足の付け根などをアイスパック等で体を冷やしてください。熱けいれんを起こした場合には生理食塩水(0.9%)を摂らせます。体温が急激に上昇し意識障害を起こした場合は、重症の熱射病ですので、早急にICUのある、アポロ病院、MAX病院などに運びましょう。
 
6.頭部外傷(head injury)

 小児の頭部外傷の多くは軽傷で、ほとんどが完全に回復します。しかし、外傷後、いつもと違う様子があれば、医療機関を受診してください。即ち、よく泣く、お乳の飲みが悪い、元気がない、嘔吐が続く、意識レベルの低下、顔色が悪い、けいれん、呼吸がいつもと違う、等です。また、通常お子さんは頭を強く打った後にひと泣きしてから眠りに入りますが、多くの場合2時間程度で一度目を覚まします。しかし受傷後6〜8時間睡眠が続く場合には脳内の異常も疑われますので、医療機関を受診してください。頭を打って24時間経過して異常がなければ普通に生活してかまいませんが、それまでは安静にしていましょう。
 
7.けが、出血、骨折(injury、bleeding、bone fructure)

 出血がひどい場合は、止血をします。清潔なガーゼやハンカチなどで直接傷口を押さえて止血します。ガラスの破片などが深くまで刺さっている時は無理に抜かずに病院に運んでください。痛みが強い時、腫れがある場合には、骨折が疑われます。腕や足の場合には、ダンボール、雑誌や新聞などを添え木代わりにして、骨折部分の前後の関節まで固定します。指の場合には割り箸等を使って、指から手の甲にかけて固定します。包帯は強く巻きすぎないようにしましょう。指先などが見えるようにして変色していない事を確かめます。固定後直ちに病院に受診してください。
 
8.やけど(burn)

 小さいお子さんの場合、熱い風呂に落ちるなどして起こる広範囲のやけどは、皮膚が赤い程度でも重症です。濡らしたシーツ等で体を包み、冷やして直ぐに病院に運んでください。範囲が狭い場合には、赤くなった程度であれば軽傷ですので、流水で十分に冷やし、痛みが取れれば清潔なガーゼで覆ってください。水ぶくれは潰さずにガーゼで保護しましょう。範囲が広ければ、必ず医療機関を受診してください。
 
9.動物(犬、サル、蜂等)に咬まれた、刺された(animal bite)

 野犬、野猿等野生動物に咬まれた場合には狂犬病の危険性があります。傷口をよくせっけんで洗い、流水で流してから消毒してください。その上で、医療機関を受診してワクチンを接種してください。蜂に刺された場合には、刺された部分をつまんで毒を出し、針が残っている場合にはとげ抜きで抜いてください。腫れがひどい場合、呼吸が苦しくなるなどの全身症状が出た場合には、早急に病院を受診してください。
 
10.心臓しんとう(commotio cordis)

 心臓しんとうとは、胸部に衝撃が加わった事により心臓が停止してしまう状態です。肋骨が折れるとか心臓の筋肉が損傷するような強い衝撃ではなく、子供が投げた野球のボールが当たる程度の衝撃で起こります。これは心臓の動きの中であるタイミングで衝撃が加わった時に、致死的な不整脈が発生する事が原因ではないかと言われています。一時救命措置(心肺蘇生)、除細動などの処置が必要になります。救命措置については別項でご説明します。
 
11.水難事故、溺水(drowning)

 プールでの事故で一番多いのは飛び込みによる頭部強打の意識消失です。溺れた場合でも、喉頭けいれんによる窒息が主であり、心臓の拍動は維持されている場合が多いと考えられています。頚随損傷予防、心肺蘇生処置が重要です。頭を動かさないように仰向けにして迅速にプールサイドに運び、心肺蘇生を行ってください。

 前述の5.10や、5.11といった緊急事態が起きた際に、当地で救急車を呼ぶと、どんなに早くても30分はかかるのが実情です。実際上はご自分の車やタクシーで医療機関まで搬送するのが早いかと思いますが、病院に到着するまでの間に一般の方が出来る処置があります。それが一時救命措置でありAED(自動体外式除細動器)による除細動です。突然死のほとんどは心臓疾患であり、その大部分は心室細動という不整脈が原因です。心停止後助かるチャンスは1分毎に10%失われ、10分後にはほとんど全ての人が亡くなってしまいます。この心室細動に有効な方法はAEDによる除細動(心臓への電気ショック)です。日本では、飛行場や病院、遊技場など人が集まる場所に設置されるようになり、国際線の航空機内でも設置が義務づけら� ��るようになりました。残念ながらインドでは、病院以外にはありません。

 AEDの無い状況で行える唯一の方法は心肺蘇生法です。日本では消防署などでトレーニングが行えるようになっていますので、是非技術を習得してください。

 ここでは、簡単に心肺蘇生法の流れだけ説明いたします。

1.意識の確認

 名前を呼ぶ、頬をたたく等して意識があるかを確かめます。
 
2.気道の確保

 意識がない場合には、気道を確保します。頚随損傷に気をつけながら傷病者を仰向けにします。両手で傷病者の下顎を軽く挙上する方法(下左図)、左手で傷病者の額を抑えて頭部を後屈させる方法(下右図)があります。気道を確保した状態で、傷病者の鼻、口の近くに自分の耳を近づけて、呼吸をしているか確かめます。

 
3.人工呼吸

 呼吸をしていない場合には、人工呼吸を行います。気道を確保した状態で、傷病者の鼻をつまみ、マウスtoマウスで息を吹き込みます。(下図a,b)1回1.5秒〜2秒かけて2回。傷病者の胸が挙がり、空気が肺に入っている事を確認します。

 
4.心臓マッサージ

 頸動脈の拍動を確認する等の方法で、心臓が動いているか調べます。動いていない場合には、心臓マッサージを行います。胸骨の下3分の1の部位、左右では真ん中位置(右上下図)を両手を重ねて、手の付け根で圧迫します。肘をまっすぐに伸ばして体重をかけ、胸の厚さの3分の1程度がくぼむまで圧迫します。1分間に100回。7歳以下は人工呼吸1回心臓マッサージ5回、8歳以上と成人は人工呼吸2回心臓マッサージ15回のリズムで行います。2〜3分おきに、心臓が動き出しているかどうかを確認します。
 
5.回復体位にする

 呼吸、心臓拍動が回復したら、下顎を軽く出し、体を横にして、上側の肘と膝を軽く曲げた状態の回復体位(右図)にします。

 われわれ日本人よりも過酷な生活環境に暮らすコック、メイド、アヤ、ドライバー、チョキダールなど家事補助者の健康管理は直接お子様などに影響が及ぶだけに家族同様気を配るべきです。アメーバ赤痢やランブル鞭毛虫(ジアルディア)に感染していても彼らは症状が無く、気に留めていないことが多々あります。年に一度の健康診断と、普段の下痢、咳などの症状を見過ごしてはいけません。また「医者に行け」と伝えても、「検査無しに投薬を受けて終わり」と言うケースも多々あります。むしろ、医師の診察を受けさせる前に下痢の場合は検便、長く続く咳の場合はツベルクリン・喀痰培養・胸部レントゲンの検査を受けさせてから医師を受診させましょう。

※2006年8月13日一部改訂

7.1.家事補助者検診医療機関
医療機関名 住所 電話 担当者
Indraprastha Apollo Cliniq Building No.1, Sector-B, Pocket-7,
Local Shopping Complex, Vasant Kunj
2613-4810
2613-4825
Mr. Vijay Thappa
Marketing
98117-01706
The Clinical Laboratory E-13/9 Vasant Vihar 2614-0055
2614-3677
2614-3110
Dr. Yatish Sharma
981008-9499
Sadhu Vaswani Mission Hospital 4thStreet, Shanti Niketan, New Delhi 2411-1562
2411-4316
Dr. (Mrs.) Malkit Law

上記医療機関に限らず以下の検査項目リストを示せば、市中の検査センター、クリニックで検診は可能です。
7.2.検査項目(最低限の検査項目)
検査項目 説明
1. HBsAg B型肝炎スクリーング検査
2. Stool routine for ova, cysts
(parasitological examination)
便寄生虫検査
3. Stool culture 便細菌培養
4. Chest X ray, AP, Lateral 胸部レントゲン検査
5. HIV(ELISA) AIDSウイルススクリーニング検査
6. Urine Routine 尿検査
7. Medical Examination Report (最終結果レポート)

 
 下記に紹介する施設は概ね清潔で建物や検査設備も最先端のレベルです。医師も欧米で研修している等、技術的なレベルはまず問題ありません。日常の外来診療は当地で十分可能と考えます。「はじめに」でご紹介した通り欧米からも患者を呼び込むだけのレベルです。言葉の問題もありますが(医師や看護婦はあまり説明をしてくれません)、医師以外の医療スタッフのレベルの低さの問題があります。食事についてもコンティネンタルスタイルの食事は提供されますが、日本食は望めません。

※2006年8月13日一部改訂


8.1.外来専門総合病院
医療機関名 住所 電話 担当者
Indraprastha Apollo Cliniq
(Vasant Kunj)
Building No.1, Sector-B, Pocket-7,
Local Shopping Complex, Vasant Kunj
2613-4810
2613-4825
Mr. Vijay Thappa
98117-01706
8.2.総合病院(入院可能)
【内科、外科、産婦人科、小児科、整形外科、眼科、耳鼻科、その他】
医療機関名 住所 電話 担当者
Rockland Hospital(60床) B-33,34, Qutab Institutional Area,
Tara Crescent Road
4122-2222
4168-8752〜764
Mr. Nitin
9899-656519
Fortis Flt. Lt. Rajan Dhall Hospital
(200床)
Sector B, Pocket 1,
Aruna Asaf Ali Marg, Vasant Kunj
4277-6222 Mrs. Pallavi
98105-02705
Indraprastha Apollo Hospitals
(650床)
Sarita Vihar,
Delhi-Mathura Road
2692-5858
2692-5859
2692-5801
2682-5573
(International
Marketing)
Mr. Akmal
93121-56895
Aashlok Hospital
(19床)
25-A, Block-AB, Community Center,
Safdarjung Enclave
2616-5901
2616-5861
2616-5862
Dr. Ashwin Chopra,
Dr. Alok Chopra
Sitaram Bhartia Institute(75床) B-16 Mehrauli Institutional Area 2686-7435
5211-1111
Mr. Neerav Aggarwal
98185-47777
8.3.各科専門医
医療機関名 住所 電話 担当者
Dr. Sanjeev Bagai
(小児科)
43 Poorvi Marg, Vasant Vihar 2614-2704
2614-2943
Dr. Bagai
98100-01902
Centre For Sight
(眼科)
B-5/24, Safdarjung Envlave,
Opposite Deer Park
4164-4000
4165-3401〜7
Dr. Mahipal S. Sachdev
Dr. Sethi's Eye & Medical Centre
(眼科)
C-2, Maharani Bagh 2684-4969
2682-8016
2683-4691
Dr. Arun Sethi
98100-61178
Delhi Dental Orthodontics Center
(歯科)
C-56 South Extension Part-I 2625-5918
2625-2398
Dr. L.K. Gandhi
Dr. R.K. Bhardwaj
(耳鼻科)
MedFirst ENT & Healthcare Centre
D3/14, Vasant Vihar Club
2614-0058 Dr. R.K. Bhardwaj
98100-14747
Metro Hospitals & Heart Institute
Metro Centre for Respiratory Disease
(心臓領域)
14, Ring Road, Lajpat Nagar-IV,
New Delhi-110024
2413-6162
2648-1355
Dr. Azmat Karim
Mobile: 98105-24343
医療機関名 住所 電話 担当者
Sitaram Bhartia Clinic
(専門外来のみ、歯科もあり)
Galleria DLF City Phase IV,
Gurgaon, Haryana 122002
95124-413-1111 Mr. Khushvinder Kalra
98717-98933
Privat Hospital
(75床)
(内科、外科、産婦人科、小児科)
DLF Qutab Enclave Phase-II,
Gurgaon-122011, Haryana
95124-2352097
95124-2351162
95124-2353793
95124-2387851
Dr. Kalyan S. Sachdev
98100-17781
Neelkanth Hospital
(内科、外科、産婦人科、小児科)
Nathupura, DLF Phase-III,
M.G. Road,
Near DLF Corporate Park,
Gurgaon
95124-4013696〜97 Dr. Himanshu Garg
98104-22141
Diwan Chand
METROPOLIS Diagnostic Services
(検査のみ)
Plot No. 31, Sector-18,
Udyog Vihar, Atlas Chowk,
(Near Munjal Showa)
Gurgaon, Haryana-122015
95124-401-3830
95124-401-5820
Mr. Pritpal Singh
981141-9827
医療機関名 住所 電話 担当者
Fortis Hospital Super Specialty
in Orthopedics & Neuro Sciences
(200床)
(内科、外科、産婦人科、小児科、
眼科、耳鼻科、その他)
B-22, Sector-62,
Noida - 201301(U.P.)
95120-240-0444 Sanjay K. Roy
98104-83293
Diwan Chand METROPOLIS
Noida Centre
Diwan Chand METROPOLIS
Diagnostic Services
Noida: B-4, Sector-16,
Opp. HCL,
Noida-201301
95120-250726
95120-250817
Dr. Ashish Bhatia
98187-10068

 インドは環境的にはたいへん厳しい地域です。デリー市は4月〜6月の夏期には45度を超えるためエアコンが効かなくなり、一方12月は最低気温が5度を切るため暖房が必要となります。あらゆる感染症が蔓延しており、渡航者の半数以上はおなかを壊すとも言われています。また近年、大気汚染や水・土壌の化学物質による汚染も問題になっており、在留邦人の懸念材料になっています。しかし、インドは歴史5000年に渡る文化の宝庫であり、今や科学技術最先端のIT大国でもあります。濃淡のはっきりとした文化に触れ、厳しい自然の下で生活する事は、異文化体験としてはこの上ない条件が揃っていると言えます。日本にいるだけでは決して養われない強い免疫力が体力的にも精神的にも培われるのではないでし� �うか? この医療案内でご紹介した基本的な注意を参考にされ、21世紀の大国インドでの生活をエンジョイしていただければ望外の喜びです。

デリー生活の手引き デリーの概要赴任前赴任後 1.手続き2.お金3.交通4.通信5.住まい6.家事補助者7.保健・衛生8.安全に暮らすために9.教育・文化10.娯楽11.赤ちゃんとデリーで暮らす12.ペットと一緒に日本に帰る13.買い出し情報14.帰国が決まったら15.インドの文化・慣習・お祭りデリー医療案内カレンダーデリー緊急電話帳デリー写真館



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